夭桃娘々

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地動説

 天界の住人はみな黒い目、黒い髪、象牙色の肌だ。みんなそう。二人を除けば。

 目は青いし髪は金色だし肌は白いし背は高いし、という白龍の容姿。そして、象牙の肌はいいものの目は金色に髪は白、おまけに尻尾つき、の悟空。
 お互い苦労するな、と白龍は言ったことがある。
 言ってみて、これは難事だぞと思った。なんで苦労するの、だってお前俺たちが変だと思わないのか、変ってなあに、だから見た目がさ、普通じゃん、普通じゃねえだろが色とか違うし、色って何の色、だからこの色だよ目とか髪とか肌とかさ。

 ――普通だよ?

 きょとんとしたままの悟空の顔に、白龍はしまいに焦れる。
 だから普通じゃねえだろ、こんなの天界にゃ俺たち以外いねえし。

 ――でも、地上にはたくさんいるよ?

 絶句。

 ややあって。
 地上にゃ、いるのか? こんな奴が。
 ――うん、たくさん。みんな色も形も違うもの。
 …………。

 世界を制御してるのは天のルールで、と思っていたけど。
 案外こいつらの地上のほうが、天界なんかそっちのけで好き放題やってるのかもしれない。