夭桃娘々

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3inches to the edge

 母方の血のおかげで、白龍は雲なんか無しでも実は飛べる。雲に乗り、空の上高く高く昇って、そこから一気に身を投げる。体が風を切る加速度がぐんぐん増していって地面に叩きつけられるその寸前、彼はツバメみたいに身を翻してぽーんと宙に跳ね上がり、また落ちる間に体勢を直して着地する。地面にどれだけ近づけるか、のチキンレースなんだそうだ。
 自分の命が無造作に叩き切られるぎりぎりのところの、その向こう側を見たいに違いない。いや、それとも彼にはもう見えていて、それに近づこうとしているのか、近づくまいとしているのか。その世界を見ることのできない他の龍たちはとんと測りかねている。